A.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明氏とは学生時代にバンドを組んだことがある。ギタリストの彼は当時から型にはまらないタイプで、自分の物差しをしっかり持っているように思えた。

 

その彼が最近、レギュラー出演しているテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で、「これからの働き方は人生三毛作となり、二足のわらじが必要になる」と発言した。

 

これは僕の「自分マルチブランド戦略」が提唱する生き方だ。

 

優秀な人材を抱え込みたいという理由で副業廃止規定をもつ企業が多いが、副業に関しては雇用者側の考え方が変わりつつある。それは副業解禁の動きだ。

 

たとえば、ロート製薬では、今年の4月から社員の副業を全面的に解禁した。その理由について、山田邦雄会長兼CEOは、「専門知識がすごくあるということは、逆に言えば、幅を広げることに積極的ではないということ。今後は社員に幅を広げてもらいたい。」と語っている。社員に外の世界を経験させて人間としての幅を広げて欲しいということだ。

 

企業の副業解禁の動きを後押ししているのが、CtoC(Consumer to Consumer)(個人間取引)サービスの拡大だ。たとえば、GMOインターネットグループが運営する「minne(ミンネ)」というサービスは、個人同士がハンドメイドの商品を売買するサイトだが、現在20万人を超える作家が登録している。ほとんどは空き時間を有効利用したい主婦などであるが、作家プロフィールに、「趣味でアクセサリーを完売しています」とか「本業があるので注文が集中すると発送が遅れることがあります」など、明らかに会社員の副業だとわかる文面がある。

 

「自分マルチブランド戦略」は必ずしも副業を奨励するものではない。「二足のわらじ」は悪いことであるという社会常識に縛られることなく、自分の人生におけるメリットとデメリットをしっかり判断して、ゼロベースで考えようとするものだ。しかし、梅澤氏の発言にもあるように、個人が二足のわらじを履くことには、その個人にとってのメリットがあるだけでなく、少子高齢化で付加価値を生み出す労働人口が減少している社会を支える上で、とても合理性があるように思う。