カーネギーメロン大ビジネススクールの後輩の前田操治君は、今年4月に前田建設工業の社長に就いた。

彼と出会ったのは僕が同大学に在籍中の時だったが、彼はそこを目指すために勉強中の身だった。

そこからのつきあいだから、もう25年のつきあいになる。

広島に出張の時には時間をやりくりしてくれて2人で酒を酌み交わす。社会では立場があるほど孤独になる。僕と飲むときには荒削りだった自分に戻れるから良いのだと思う。

さて、今では堂々たるトップ経営者の彼も、若くて未完成な時期があった。出逢った頃はまさにそんな感じの線の細い青年だった。

ただ、自分の「芯」がしっかりあって、それを失わない強さ、頑固さのようなものが奥深くに見え隠れしていたのを覚えている。

彼と話す度に思ったのは、よく勉強していることと、立派な経営者になろうとする努力だった。その努力は、もしかしたら自信のなさからくるのかもしれないが、とにかく彼はこの数十年間しっかりと「修業」をしてきた人間だ。

その修業の結果、今の彼がある。

人として目指す理想の姿があるならば修業が欠かせない。意識して修業しなければいい人間にはなれないし、いい男あるいはいい女にもなれない。

そのことは、学校では教えてくれないし、社会でも学ぶチャンスは少ない。彼がどこで学んだのかはわからないが、少なくとも彼は、どこかでそれを知って実際に修業してきたラッキーな人間だ。

彼の今の姿を見る度に、僕は修行の大切さとその威力をつくづく感じる。